データ処理を効率化できる ETL とは?メリットや注意点、利用シーンまで徹底解説!
技術ブログはじめに
ETL とは何かをご存知でしょうか?データの抽出・変換・書き出しを行うためのツールであり、 ETL を活用することでデータ処理の効率化に繋がります。
本記事では、 ETL の概要やメリットに加えて、具体的な利用シーンや利用時の注意点など、あらゆる観点から一挙にご説明します。自社でデータ活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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ETL とは?
ETL の語源としては、
- Extract (抽出)
- Transform (変換)
- Load (書き出し)
の 3 つの英単語であり、これらの頭文字を取って ETL と呼ばれています。この記事では ETL を IT ツールを意味する言葉として使っていますが、一般的には「 ETL ツール」という表現が使われることもあります。
前述した通り、 ETL は組織内に存在するシステムから様々なデータを抽出し、それらを変換して書き出すための機能を持ったツールのことです。多くの企業では複数のシステムを並行的に稼働させており、各システムから別々にデータを取り出すのは大きな手間がかかります。
しかし、 ETL を活用すれば、複数のシステムから効率的にデータを抽出し、それらを変換したり外部へ書き出したりすることが容易にできます。このように、 ETL はデータ活用を推進するうえで非常に有効なツールであると言えるでしょう。
ETL を使わない場合、システムからデータウェアハウス( DWH )へデータを格納するまでには、様々なプロセスが存在することがわかります。一方、 ETL を使う場合、すべての処理を ETL 内で完結できるため、効率的に DWH へデータを書き出すことが可能になります。
ここからは、要素ごとに分けて ETL プロセスの仕組みを解説します。どのような仕組みになっているのか、データ活用の前提知識としてポイントをおさえておきましょう。
なお、 DWH に関心のある方は以下の記事で詳しく解説しています。
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データソース
ETL は様々なデータソースに対応しており、
- CRM システム(顧客情報)
- ERP システム(商品情報)
- Web サイト(アクセスログ)
など、多様な情報源からデータを取得することが可能です。そして、これらを使いやすい形式に変換し、外部へ書き出しできるため、複数のシステムを利用している場合でも効率的なデータ処理を実現できます。
Extract(抽出)
ETL の抽出には複数の処理方法が存在し、代表的なものとしてはバッチ処理やリアルタイム処理などが挙げられます。
バッチ処理は一連のタスク・ジョブをまとめて実行する手法であり、個々の処理を一度に行うことで、時間やリソースを節約できる点が大きな特徴です。そして、リアルタイム処理はデータやイベントが発生した直後に即座に処理する手法であり、処理遅延を少なくできる点がメリットです。
また、 ETL の抽出では Change Data Capture ( CDC :変更データキャプチャ)という技術が使われることもあります。これはデータに対してどのような変更がいつ発生したのかを特定し、その変更に影響を受けるシステムへ警告を行うための仕組みであり、データに依存している複数システムの一貫性を保つために役立ちます。
このように、 ETL でデータを抽出する際には、様々な処理方法や仕組みが存在することを覚えておきましょう。
Transform(変換)
ETL でデータを変換する際には、抽出と同様に様々な処理方法が存在します。
例えば、データ型の値を変更する「データ型変換」や項目ごとにデータを合計する「集計」、類似するデータを一つにまとめる「結合」など、 ETL におけるデータ変換の処理は多岐にわたります。
データは蓄積するだけでは意味を為さず、それらを分析・活用することで初めて価値が生まれます。そして、データ分析の成否はデータの品質に大きく左右されるため、 ETL でデータを使いやすい形に変換することは、データ活用において非常に重要なプロセスだと言えます。
Load(ロード)
ロードとはデータを読み込むことを意味しており、 ETL ではバッチロードやストリーミングロードなどの手法が用いられることが一般的です。バッチロードは大量のデータを一括処理できる処理方法であり、ストリーミングロードはデータを連続的に処理することでリアルタイムな読み込みを実現できる処理方法です。
また、データロード時のデータ損失を防ぐためには、バックアップが有効な手段になります。 ETL には自社の貴重なデータが多く格納されているため、それらが消失しないように定期的にバックアップを取得し、安全にデータ活用を推進できる環境を整えておくことが大切です。
ETLの種類
一口に ETL と言っても、実は様々な種類が存在することをご存知でしょうか?本章では、 ETL の代表的な種類についてご紹介します。
バッチ ETL
バッチ ETL の特徴として、定期的なスケジュールに基づいて処理を実行する点が挙げられます。特定の時間間隔(例:毎日、毎週、毎月)や特定イベントの発生時に自動的にトリガーされるため、システムはデータの更新・変更を追跡し、最新の情報を維持することが可能になります。
さらに、バッチ ETL は大量のデータを処理するのに適しています。データの処理は一括で行われるため、処理対象のデータが大規模であっても、適切なリソースを割り当てることで効率的にデータを処理できます。そのため、バッチ ETL はデータウェアハウス( DWH )やデータレポートの構築、ビッグデータ分析など、大規模なデータセットを扱う場面で広く活用されています。
リアルタイム ETL
リアルタイム ETL は、データが発生するのと同時に処理を実行する点が大きな特徴です。データがシステムに入力されると、そのデータは直ちに抽出され、必要な変換が行われた後にデータウェアハウス( DWH )へロードされます。
また、リアルタイム ETL は最新のデータを常に分析する必要がある場合に有効に使えます。例えば、 Web トラフィックの監視や金融取引の処理など、リアルタイムなデータ分析が求められるシーンにおいては、データの発生と同時に処理を実行し、最新の情報を取り込むことが重要なため、リアルタイム ETL が有効な選択肢になると言えるでしょう。
マイクロバッチ ETL
マイクロバッチ ETL では、短い間隔で処理を実行します。前述したバッチ ETL とは異なり、マイクロバッチ ETL はデータ生成の都度、直ちに処理が実行されるわけではありません。その代わりに、数分などの短い時間間隔で小さなバッチ(マイクロバッチ)のデータを処理し、定期的にデータの抽出や変換、読み込みを行います。
これにより、データがリアルタイムではなくても、リアルタイムに近いタイミングでデータを処理できるため、マイクロバッチ ETL は、バッチ ETL とリアルタイム ETL の中間の処理として位置付けられています。そのため、リアルタイム処理の要求はないものの、データ更新の頻度が高い場合などに利用されることが多くなっています。
なお、マイクロバッチ ETL に該当するツールとしては Apache Spark や AWS Glue 、 Dataflow などが挙げられます。 AWS Glue と Dataflow に関しては記事の後半で紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。
ETL のメリット
ここまで、 ETL について詳しく解説してきましたが、企業が ETL を導入することで、具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか?本章では、 ETL のメリットを 4 つご紹介します。
データ統合が効率的に行える
ETL を活用することで、企業は複数のデータソースからの情報を効率的に統合し、一元管理することが可能になります。これにより、統合されたデータセットの作成に繋がり、より包括的な洞察を得ることができます。
また、 ETL で統合されたデータは、複数の社員が適切なツールやインターフェースを介して、容易にアクセスできるようになります。そのため、データのアクセス性を向上させることができ、迅速な意思決定やデータの民主化に直結します。
データの誤変換等のヒューマンエラーの回避ができる
データの取り扱いにおいて、ヒューマンエラーは避けられないリスクの一つだと言えます。例えば、手作業でデータを移動・変換する際に、誤ったデータを選択したり、誤変換を行ってしまったりするケースなどが考えられます。
しかし、 ETL を導入することで、データの抽出・変換・書き出しといった各プロセスを自動化できるため、人為的なミスを防ぐことができます。さらに、 ETL にはデータ品質を担保するための機能が組み込まれており、異常値や欠損値を検出した場合、一定のルールに従ってそれらを処理できるため、データ分析の精度向上にも大きく寄与します。
コスト削減に繋がる
ETL を活用することで、様々なデータ処理を自動化できるため、作業時間の短縮や人的コストの削減に直結します。また、 ETL は大量のデータを効率的に処理することが可能であり、将来的に企業が成長した場合でも、データ処理のコストをおさえながらビジネスをスケールさせることができます。このように、あらゆる面においてコスト削減を実現できる点は、 ETL の大きなメリットだと言えるでしょう。
専門知識を持たない人でも簡単に使える
本来、膨大なデータを扱うためには、データベースやプログラミングなどの専門知識が求められるケースも珍しくありません。しかし、 ETL の中には、誰でも簡単に扱えるツールも数多く存在します。このような使いやすい ETL を導入すれば、データ活用における各プロセスをノンプログラミングで開発できるため、専門知識を持つ人材を確保せずとも効率的なデータ統合・データ活用を実現できます。
ETL を利用する際の注意点
ETL はとても便利なツールですが、利用時に意識すべきポイントがいくつか存在します。本章では、 ETL を利用する際の注意点について解説します。
導入コストが発生する
ETL を利用するためには、当然ながらツールの導入コストが必要になります。多くの ETL は利用量に応じて料金が変動する従量課金制を採用しているため、事前にコストシミュレーションを行い、大まかな料金を把握しておくことが重要なポイントになります。ただし、 ETL 導入によって得られるメリットは大きいため、発生するコストを必要投資として捉えて、前向きに導入を検討することが大切です。
最低限の IT リテラシーは必要
専門知識を持たない人でも簡単に使える点が ETL のメリットだと前述しましたが、 IT 知識をまったく持たない人が ETL を使いこなすことは難しいでしょう。例えば、データソースとなる社内システムへの理解やデータベースに関する基礎知識など、最低限の IT リテラシーは必要になります。そのため、自社の IT リテラシーに不安が残る場合には、社員に対する研修や教育を施すなど、 ETL 導入に向けた環境構築を行うことも忘れてはいけません。
ETL 単体で実現できることは限定的
ETL はとても便利なツールですが、 ETL 単体でデータ活用におけるすべてのプロセスを完結させることはできません。例えば、データ分析を行う場合はデータウェアハウス( DWH )を使う必要がありますし、分析したデータをビジュアライズするためには BI ツールを利用する必要があります。このように、 ETL は別のツールと組み合わせることで導入効果を最大化できるため、各ツールの役割を理解し、有効に使い分けることが大切です。
DWH に関心のある方は以下の記事が参考になります。
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ETL の利用シーン
本章では、 ETL の代表的な利用シーンについて解説します。自社で導入する場合の参考になると思いますので、ぜひ内容を理解しておいてください。
データ処理の効率化
ETL では、複数のソースからデータを抽出した後、それらを必要な形式に変換してデータウェアハウス( DWH )などに書き出しを行います。仮に、これらのプロセスを手作業で実行する場合、大きな作業工数がかかり、ヒューマンエラーが生じるリスクが高まりますが、 ETL ツールを活用することで、様々なデータ処理を効率化できます。例えば、日次・週次のデータ更新など、定型的な処理を自動化しておけば、組織全体の業務効率化や生産性向上に繋がります。
レポート作成の簡素化
多くの企業では、複数のデータソースからデータを抽出し、それらを集計・分析して意思決定に役立てるためのレポートを作成します。そこで、 ETL を活用することで、異なるデータソースのデータを統合し、一貫した形式で処理できるため、レポートの作成時間を大幅に短縮できます。また、定期的なレポート作成を ETL で自動化すれば、客観的なデータに基づいた迅速な意思決定を実現でき、データドリブンな経営基盤を構築することが可能になります。
ビッグデータのクレンジング
近年、ビッグデータ(膨大かつ多様なデータ)が大きな注目を集めていますが、 ETL はビッグデータのクレンジングにおいても有効に活用することができます。ビッグデータは膨大で複雑なため、品質の低下や不正確なデータが混在する可能性がありますが、 ETL はデータ品質を向上させるための処理を自動化し、正確かつ信頼性の高いデータセットを作成できるため、ビッグデータを効率的にクレンジングし、意思決定の質を向上させることが可能になります。
代表的な ETL ツール
最後に代表的な ETL ツールを 3 つご紹介します。具体的にどのようなツールがあるのか、参考までに理解しておきましょう。
AWS Glue
AWS Glue は Amazon 社の Amazon Web Services( AWS )が提供するフルマネージドな ETL であり、データの抽出、変換、書き出しを自動化し、データウェアハウス( DWH )やデータレイクなどにデータを簡単に移動することができます。 AWS Glue はサーバーレスアーキテクチャを採用しており、スケーラビリティが高く、柔軟性のあるデータ統合を実現できる点が大きな特徴となっています。
AWS Glue は、Amazon S3、Amazon RDS、Amazon Redshift、Amazon DynamoDB など、AWS の様々なサービスとシームレスに統合されていますし、Java Database Connectivity ( JDBC ) を介して、オンプレミスのデータベースともデータ交換が可能です。
Azure Data Factory
Azure Data Factory は Microsoft 社の Microsoft Azure に搭載されており、クラウド内外のデータソースからデータを抽出・変換し、書き出しを行うことができるエンタープライズ向けの ETL です。 Azure Data Factory は直感的に操作できる点が大きな強みであり、ビジュアライズされたデザイン機能を使用して、簡単にデータパイプラインを構築できます。また、柔軟なスケーリングオプションが用意されており、大規模なデータ統合プロジェクトに対応している点も嬉しいポイントです。
Azure Data Factory は、オンプレミスとクラウド上の様々なデータソースとデータストアをサポートしています。Azure SQL Database、Azure Synapse Analytics、Azure Blob Storage、Amazon S3、Google Cloud Storage、オンプレミスのSQLサーバーなど、多様なデータソースに対応しています。
Dataflow
Dataflow は Google 社の Google Cloud に搭載されている ETL であり、効率的にデータを処理できるサービスです。データフローの作成・実行を容易に行うことができ、リアルタイムまたはバッチ処理のデータパイプラインを構築することが可能です。また、 Dataflow はフルマネージドサービスとして提供されているため、自社の工数をかけずに保守・運用を行うことが可能であるほか、大規模データでも高速に処理できる点が大きなメリットとなっています。
Dataflowは、Google Cloud Storage、BigQuery、Pub/Sub、Datastore など、Google Cloud プラットフォーム上の様々なサービスとシームレスに統合されています。また、Apache Kafka や Apache Cassandra などの外部システムともデータ連携が可能です。
Google Cloud に関心のある方は以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
本記事では、 ETL の概要やメリットに加えて、具体的な利用シーンや利用時の注意点など、あらゆる観点から一挙にご説明しました。企業が ETL を活用することで、効率的なデータ統合やコスト削減など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、重要なポイントを理解しておきましょう。
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