データウェアハウス( DWH )とは、メリットや選定時のポイント、活用事例まで徹底解説!
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データウェアハウス( DWH )とは何かをご存知でしょうか?膨大なデータを保管し、効率的に活用するためのリポジトリであり、データ分析を行う際に有効に活用できます。本記事では、 DWH の概要やメリットに加えて、選定時のポイントや活用事例など、あらゆる観点から一挙にご説明します。自社でデータ分析を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
データウェアハウス( DWH )とは?
まずは、データウェアハウス( DWH )の概要についてご説明します。記事の前提知識として、基本的な内容を理解しておきましょう。
定義
データウェアハウス( DWH : Data Ware House )は、構造化データや半構造化データを格納する集中型リポジトリ(データの保管場所)であり、日本語では「データの倉庫」と表現されています。主に大量のデータを構造化された形式で集約し、保存するためのシステムとして使われることが多くなっています。
DWH の目的は異なるソースからのデータを統合し、企業の意思決定支援のために照会や分析が容易な形式で保管することです。 DWH にはあらゆるデータが格納されているため、必要な情報を即座に取り出すことができ、データの分析作業を効率的に進めることが可能になります。
歴史
データウェアハウス( DWH )の歴史は、情報技術の発展やビジネスニーズの変化と密接に関連しています。 1980 年代後半から 1990 年代初頭にかけて、多くの企業がデータ分析へ舵を切り、それらをビジネスの意思決定に反映するようになりました。
しかし、異なるシステム・アプリケーションのデータを統合し、効果的に分析することは困難であり、この課題を解決するためのツールとして DWH が生み出されました。 DWH は様々なソースからデータを収集し、それらを一元的に格納・管理できるため、企業がデータ分析を行う際の有効な武器となったのです。
データウェアハウス( DWH )とデータベースとの違い
データウェアハウス( DWH )と混同しやすい言葉としてデータベースが挙げられます。どちらもデータを扱う点は共通していますが、両者には様々な違いが存在するため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
目的
データウェアハウス( DWH )は格納したデータを分析・活用することが前提のツールであり、明確な利用目的をもって構築されるのが一般的です。一方、データベースはデータ活用までを見越したものではなく、自社が保有する膨大なデータを整理された状態で保管することが目的となっています。このように、 DWH とデータベースは、利用目的において明確な違いがあると言えるでしょう。
ストレージ容量
ストレージ容量はサービスごとに異なりますが、一般的にはデータウェアハウス( DWH )の方がデータベースよりも大きな容量を備えていることが多いと言えます。前述した通り、 DWH はデータ分析を前提としたツールであるため、多角的かつ効率的なデータ活用を実現するために、あらゆるデータを明細として保管できるように設計されています。
データソース
データウェアハウス( DWH )は様々なデータソースからデータを取得し、それらを一元的に格納・管理することができます。一方、データベースは特定の単一ソースから取得したデータのみを扱うことが一般的であり、複数ソースからの情報取得ができないケースもあります。そのため、自社のデータが複数システムに点在している場合は、 DWH がおすすめのツールであると言えるでしょう。
分析のしやすさ
データウェアハウス( DWH )はデータ分析を行うためのツールとして設計されているため、データベースと比較して容易に分析作業を進めることが可能です。一例として、複数システム間でのデータのやり取りを考えた場合、データベースは多くの処理時間を要しますが、 DWH を使えば、時間をかけずに効率的なデータ転送を実現できます。そのため、データ分析を迅速に行いたい場合には、 DWH が有効な選択肢の一つになります。
時系列の整理
データウェアハウス( DWH )の大きな特徴として、時系列(データの日時)の情報を効率的に保持・管理できる点が挙げられます。これにより、格納されているデータを時系列順に並び替えたり、時系列分析を容易に行ったりすることが可能です。DWH は、ビジネスインテリジェンス( BI )やデータ分析のために設計されており、大量の履歴データを含む時系列データの処理に特化しています。
一方、通常のデータベースは主にトランザクション処理に最適化されており、時系列データを扱うこともできますが、効率的な管理・分析には適切なインデックスや複雑な SQL クエリが必要となります。これには専門的な知識と多大な工数がかかることが多いため、時系列データの整理や分析には DWH を使用することが一般的です。
DWH を使用することが一般的なだけで、データベースを使用する場合もあります。DWH を使用するかどうかは、データの量、分析の複雑さ、パフォーマンス要件、コスト、既存のインフラストラクチャなどを考慮して決定する必要があります。
データウェアハウス( DWH )のアーキテクチャ
以下、データウェアハウス( DWH )のアーキテクチャを図で示します。

一般的な DWH の構成としては、 ETL (データを抽出・変換・加工するためのツール)からセントラルデータベースへデータを格納し、その中でデータを整理された状態で管理・保存します。そして、実際にデータを利用するタイミングでアクセスツールを使い、必要な情報を抽出します。
セントラルデータベースのスキーマ(構造)としては、スター型スキーマ(主にファクトテーブルとディメンションテーブルの 2 つで構成されるデータ構造)とスノーフレークスキーマ(ディメンションテーブルを正規化し、階層構造を持たせたデータ構造)の 2 つを用いることが多いですが、
- コンステレーションスキーマ
- ギャラクシースキーマ
- アンカーモデリング
- データボルト
などを使うケースも存在します。
また、実際に DWH を設計する際には、これらのスキーマパターンを組み合わせたり、ハイブリッドな設計にしたりして DWH を構築することもあります。組織のデータ特性やビジネス要件によって最適なスキーマは異なるため、自社の状況に合わせて慎重に設計を進めてください。
データウェアハウス( DWH )のメリット
ここまで、データウェアハウス( DWH )について詳しく解説してきましたが、企業が DWH を活用することで、具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか?本章では、 DWH のメリットをいくつかご紹介します。
サブジェクトごとに整理できる
サブジェクトとは、「売上」や「単価」など、データの中身を意味する言葉です。データウェアハウス( DWH )には、複数システムから様々なデータが集められますが、これらをシステム単位で整理した場合、横断的なデータ分析を行うことはできません。その点、 DWH は収集したデータをサブジェクトごとに整理できるため、社内に点在しているデータを集約し、一元的に利用することが可能になります。
データを統合して一元管理できる
複数のデータを統合し、一元管理できる点もデータウェアハウス( DWH )の大きなメリットです。 2 つ以上のシステムからデータを集めた場合、同じ意味を持つデータが複数存在してしまうリスクがありますが、 DWH を利用することでこのリスクを低減できます。
例えば、本来は 1 名しか存在しない顧客が複数名いるように見えたり、システムによって取引先の会社名のことを「取引先」「企業名」といった異なるカラム名で表現したりするケースなどが存在しますが、 DWH はこれらの重複削除や名称統一などを行い、データの不整合を解消できるため、高品質なデータで分析作業を行うことが可能になります。
データを時系列で整理できる
多くのデータベースでは、最新状態のデータを保管するのが一般的ですが、データウェアハウス( DWH )では、過去のデータも含めて時系列の順番に整理することが可能です。例えば、特定顧客の会員ポイント数を確認したい場合、通常のデータベースは現在の保有ポイントのみを保持していますが、 DWH は現在に至るまでのポイント数の推移をすべて把握できます。そのため、より緻密な顧客分析を行うことができ、今後の施策検討や意思決定に大きく役立ちます。
データウェアハウス( DWH )を選ぶ際のポイント
データウェアハウス( DWH )を導入する際には、意識すべき点がいくつか存在します。本章では、 DWH を選ぶ際の重要なポイントについて解説します。
拡張性
データウェアハウス( DWH )の拡張性は、企業の将来的な保有データ量や使用ニーズにどれだけ柔軟に対応できるかに直結します。拡張性の高い DWH の場合、新しいデータソースの追加や処理能力の向上が容易であり、ビジネスの成長・変化に対して迅速に対応できます。そのため、 DWH を検討する際には、可能な限り拡張性の高いサービスを選択するとよいでしょう。
データの処理速度
データの処理速度は、データウェアハウス( DWH )のパフォーマンスを決定する重要な要素の一つです。ビジネスのデータ分析・意思決定においては、リアルタイムまたは近い時間枠でのデータ利用が求められる場合があり、これらを実現するためには、 DWH が高速に大容量のデータを処理し、クエリのレスポンス時間を最小限に抑えることが重要です。そのため、 DWH を選ぶ時はデータの処理速度を意識し、導入するサービスを検討してください。
コストパフォーマンス
データウェアハウス( DWH )を選択する際には、コストとパフォーマンスのバランスを考慮することが必要不可欠です。どれだけ高性能な DWH だとしても、高価格で予算を超えてしまうようであれば、それは最適な選択肢だとは言えません。自社の予算内で効率的にデータを処理し、 DWH の導入目的を遂行できるように、複数のサービスを比較しながら検討を進めることが大切です。
ユーザーインターフェース
データウェアハウス( DWH )は膨大なデータを扱うため、サービスの使いやすさは重要なポイントになります。組織全体で効率的にデータを分析・活用し、データの民主化を推進したい場合には、誰でも簡単に利用できるものを選ぶことをおすすめします。事前に DWH のユーザーインターフェースを確認し、実際の画面や操作性などを把握しておくとよいでしょう。
データウェアハウス( DWH )の種類
一口にデータウェアハウス( DWH )と言っても、その種類は多岐にわたります。本章では、 DWH の種類についてわかりやすく解説します。
クラウドデータウェアハウス
クラウドデータウェアハウスとは、クラウド型のデータウェアハウス( DWH )であり、その多くはマネージドサービス(サーバーの管理・保守の大部分をベンダーが対応するサービス)として提供されています。クラウドデータウェアハウスは自社で物理サーバーやネットワーク機器などを用意する必要がなく、月々の利用料金を支払うだけで簡単に導入できるため、昨今の DWH はこのクラウドデータウェアハウスが主流となっています。
データウェアハウス・ソフトウェア(オンプレミス/ライセンス)
データウェアハウス・ソフトウェア(オンプレミス/ライセンス)とは、データウェアハウス( DWH )の専用ライセンスを購入し、自社のオンプレミス環境に DWH を構築できる形態です。前述したクラウドデータウェアハウスと比較すれば、コストは高価になるのが一般的ですが、データの細かい制御やセキュリティ強化など、様々な面で独自のカスタマイズを施すことが可能です。そのため、機密性の高いデータを扱う場合には、データウェアハウス・ソフトウェア(オンプレミス/ライセンス)が有効な選択肢になると言えるでしょう。
データウェアハウスアプライアンス
データウェアハウスアプライアンスとは、
- ハードウェア
- OS
- CPU
- ストレージ
- データウェアハウス・ソフトウェア
などがオールインワンで統合されている DWH の形態であり、ネットワークに接続するだけで簡単に利用開始できます。初期コストやスケール性、データ制御など、あらゆる面においてクラウドとオンプレミスの中間に位置しており、非常にバランスの取れた DWH の形態となっています。
代表的なクラウドデータウェアハウス( DWH )
本章では、代表的なクラウドデータウェアハウス( DWH )を 3 つご紹介します。どのようなサービスがあるのか、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
BigQuery
BigQuery は Google Cloud ( Google が提供するパブリッククラウドサービス)に搭載されているサービスであり、クラウドデータウェアハウス( DWH )の一種として位置付けられています。 BigQuery は非常に高性能な DWH であり、高速なデータ処理や高いコストパフォーマンス、使いやすいインターフェースなどが大きな特徴として挙げられます。
さらに、 BigQuery はデータの格納場所としての機能だけではなく、蓄積したデータを BigQuery の中でそのまま分析することが可能です。これにより、一元的にデータを保管・分析できるため、一気通貫した効率的なデータ活用を実現できます。
BigQuery に関心のある方は以下の記事で詳しく解説しています。
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Amazon Redshift
Amazon Redshift は AWS ( Amazon Web Services : Amazon が提供するパブリッククラウドサービス)に搭載されているクラウドデータウェアハウス( DWH )です。 BigQuery と同じように、高速なデータ処理が Amazon Redshift の大きな特徴であり、膨大なデータを効率的に処理・分析できます。また、 AWS の他サービスともシームレスに連携できるため、運用負荷を軽減しながら様々な機能を使うことが可能になります。
Azure Synapse Analytics
Azure Synapse Analytics は Microsoft Azure ( Microsoft が提供するパブリッククラウドサービス)に搭載されているクラウドデータウェアハウス( DWH )です。他のクラウド型 DWH と同様、膨大なデータを効率的に処理・分析できる点が Azure Synapse Analytics の強みですが、データの準備やモデリング、分析作業のためのセットアップ(設定)などは必要になるため、最低限の IT リテラシーを持っている人が扱うことが望ましいと言えるでしょう。また、 Python をはじめとした様々な言語に対応しているため、新しくチューニングを行う必要がない点も嬉しいポイントです。
データウェアハウス( DWH )の活用事例
住宅設備機器メーカーの株式会社 LIXIL は、データ活用の民主化を推進する取り組みとして、 BigQuery を中心としたデータ活用基盤「 LIXIL Data Platform (以下、 LDP と記載)」を構築しています。これは、従業員が必要な時に必要なデータを自ら利用可能な状態にすることを目指したものであり、経験則ではなく事実に基づくデータドリブンな意思決定を実現することを最終的なゴールとして設定していました。
LDP は BigQuery を中心に構成されており、 BigQuery の高速データ処理を活用することで、迅速かつ高精度な分析・意思決定が可能になりました。また、 Data Catalog と BigQuery の連携により、 BigQuery で View が作成されると即座にカタログに反映されるため、メンテナンスコストを最小限に抑えたデータカタログの仕組みを実現しています。
加えて、同社は「 LDP データ検索サイト」という社内向けのアプリケーションを自社開発しました。これは、 BigQuery に格納されているデータを瞬時に検索するための仕組みであり、必要な情報を必要なタイミングですぐに取り出せる環境を整備しています。
これらの工夫により、同社は従業員が手軽にデータを分析できる環境の構築に成功し、これまでは不可能であったデータ分析を実現できるようになりました。例えば、営業プロセスの効率化や製品のパーツ管理など、多岐にわたる業務において BigQuery のパフォーマンスが大きな成果をもたらしています。
まとめ
本記事では、データウェアハウス( DWH )の概要やメリットに加えて、具体的なサービスや活用事例など、あらゆる観点から一挙にご説明しました。企業が DWH を活用することで、一元的なデータ統合やデータの時系列整理など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、重要なポイントを理解しておきましょう。
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