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2017-10-28

マーケティングの”深い溝”を越えるために理解すべきキャズム理論

マーケティングの"深い溝"を越えるために理解すべきキャズム理論


ハイテク製品が普及する過程には、「キャズム」と呼ばれる「深い溝」が存在します。この深い溝を越えた製品は市場に広く普及し、越えられなかった製品は思うようにシェアを得られません。

そうした市場に存在する深い溝のメカニズムを理論としてまとめたのが「キャズム理論」です。マーケティングに立ちはだかる”深い溝”を越えるために、キャズム理論が起こる理由と対策を学んでおきましょう。

キャズム理論とは?

キャズム理論は、米国のマーケティングコンサルタント、ジェフリー・ムーアが1991年に出版した著書「Crossing the Chasm(邦題:キャズム)」の中で提唱した理論です。

キャズム理論では、最新テクノロジーを採用したハイテク製品が市場に浸透する過程において、消費者層を「いち早く手に入れる層」と「浸透してから取り入れる層」に大別します。

この2つの消費者層には”溝(キャズム)”が存在し、製品の普及を妨げる壁となっています。製品を普及させるには、この”深い溝”を越えなければなりません。

キャズムが生まれる理由

溝が発生する理由は、2つの消費者層で製品に求める価値がそれぞれ異なるからです。「いち早く手に入れる層」は新製品に「新しさ」を求める傾向があるため、普及しているかどうかに関わらず積極的に取り入れようとします。

対して「浸透してから取り入れる層」は新製品に「安心感」を求めるため、大勢の人が使っているのを見てから取り入れる傾向にあります。それぞれ「新しさ」と「安心感」という異なる価値を求めていることから、2つの消費者層の間に深い溝が生まれます。

イノベーター理論との関係性

キャズム理論-図

キャズム理論は、1962年に米スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授が提唱した「イノベーター理論」と深い関係があります。イノベーター理論は、消費者の購買態度を時間軸に合わせて5つのタイプに分類した理論です。

・イノベーター(革新者):2.5%
・アーリーアダプター(初期採用者):13.5%
・アーリーマジョリティ(前期追随者):34%
・レイトマジョリティ(後期追随者):34%
・ラガード(遅滞者):16%
※数字は市場に占める割合

「イノベーター」は新製品の導入に非常に積極的な新しいモノ好きな層です。反対に「ラガード」は新製品が普及しても導入しない消極的な層で、両者の新製品に対する態度は対極にあります。

「アーリーアダプター」は「イノベーター」ほどではないにしても積極的に新製品を取り入れる層で、比較的新しいモノを好みます。「アーリーマジョリティ」は慎重派ではあるものの、平均よりも早く取り入れる傾向があります。

「レイトマジョリティ」は新しいモノに対して懐疑的で、大勢の人が使ってからでないと取り入れようとしません。キャズム理論では、「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間に”深い溝”があると指摘しています。

「イノベーター」と「アーリーアダプター」は新製品に「新しさ」を求めるため、未知の製品であっても積極的に導入します。しかし、「アーリーマジョリティ」は、新製品に「安心感」を求めるため、新製品の導入に対して慎重になります。

イノベーター理論では「アーリーマジョリティ」は「アーリーアダプター」の次に積極性があると分類されていますが、この2つの消費者層ではそれぞれ価値観が異なるため、積極性に大きな違いがあります。

「アーリーマジョリティ」の積極性は「安心感」の上に成り立っていて、「不安」を感じる状態では購買行動に移りません。それを正しく理解していないとキャズムは越えられないでしょう。

キャズムを越えるための方法

「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間にある溝(キャズム)を越えるには、ターゲットに合わせてアプローチ方法を変えなければなりません。新製品の導入に積極的な「イノベーター」と「アーリーアダプター」には、「新しさ」を打ち出したアピールが有効です。

この層は性能や機能の目新しさに魅力を感じるため、これまでにない「新しさ」が武器になります。対して新製品の導入に消極的な「アーリーマジョリティ」以降の消費者層には、「安心感」を重視してアピールします。

新しいハイテク製品の導入をためらうのは、未知なモノに対する「不安」があるからです。安心感を求める層にとって、新しさよりも未体験のテクノロジーが本当にいいモノなのかという不安が勝ります。

その一方で、新しいモノを拒否し続けると置いていかれるのではないかという「不安感」も同時に抱いています。新しいモノをすぐに受け入れられないのは当たり前で、大多数の消費者は「安心」であることを確かめてから購買行動に移ります。

そうした新しいテクノロジーに不安を抱える「アーリーマジョリティ」には、「安心感」を与えることが溝(キャズム)を越えるポイントとなります。

たとえば、スマートフォンを使いたいけれど操作方法が分からず、不安に感じているユーザーは多いかと思います。そうしたスマホの利用に不安を感じている消費者層を取り込むには、サポートサービスの充実が求められます。

今のハイテク製品は説明書がなく、ネットで調べるのが当たり前になっています。これはどんどんOSやシステムがアップデートされるのが理由のひとつですが、説明書がないと困る人もいます。

若い世代は説明書がなくても自分で調べますが、ネットに不慣れな高齢層はサポートを必要としている方は多いことでしょう。

このように、ハイテク製品に対する不安を解消する施策を投じることが深い溝(キャズム)を越えるカギとなります。「新しさ」で売れるのは「アーリーアダプター」までで、「アーリーマジョリティ」以降の消費者に受け入れてもらうには「安心感」を与えることが必要です。

おわりに

新しいテクノロジーを導入した製品でも市場に普及しないのは、多くの消費者が「不安」を感じているからです。「アーリーマジョリティ」と「アーリーマジョリティ」の間に隔たる溝(キャズム)を越えなければ、どれだけ革新的な製品でも普及していきません。

2つの消費者層では価値観が異なることを理解し、それぞれの層に合わせた施策を投じましょう。

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